「うちは共働きだし、収入保障保険はいらないかも」と考えている子育て世帯は少なくありません。
しかし教育費という巨大な固定支出を抱えた家庭では、片方の収入が途絶えた瞬間に家計が崩壊するリスクがあります。
この記事では、教育費がある家庭が収入保障保険の要否を判断するための具体的な基準を解説します。
教育費は「止められない支出」である
食費や光熱費はある程度削れますが、子供の教育費はそう簡単に削れません。
学校の授業料・給食費・部活動費・塾代などは毎月確実に発生し、削ると子供の将来に直接影響します。
文部科学省の調査によれば、子供1人を幼稚園から大学(すべて公立)まで育てると約1,000万円、すべて私立なら約2,500万円以上かかります。
この大きな固定支出を抱えた状態で大黒柱の収入が突然なくなれば、家計の危機は避けられません。
収入が途絶えたとき何年分の教育費が残るか
例えば、現在子供が小学1年生(6歳)の場合、大学卒業までに約12〜16年の教育費が残ります。
私立中高大進学を想定すると残り1,200〜1,500万円程度の教育費が必要です。
仮に一家の主な稼ぎ手が亡くなった場合、遺族年金で補填できるのは月10〜13万円程度。
生活費が月25万円かかる家庭では、毎月12〜15万円の不足が生じます。
この不足を収入保障保険でカバーすることで、子供の進学機会を守ることができます。
📊 教育費がある家庭向け収入保障保険 保険料比較(月額12万円・子が22歳になる年まで)
| 保険会社 | 月払保険料(35歳男性) | 月払保険料(35歳女性) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 収入保障A社 | 2,520円 | 2,100円 | 最低保証期間5年 |
| ネット生命B社 | 2,310円 | 1,940円 | オンライン完結で割安 |
| 大手生命C社 | 2,780円 | 2,350円 | 三大疾病・就業不能特約 |
| 外資系D社 | 2,450円 | 2,050円 | 非喫煙者割引あり |
※上記は概算例です。実際の保険料は各社の審査・条件によって異なります。
教育費がある家庭で収入保障保険が「いらない」と言える条件
以下の条件をすべて満たす場合、収入保障保険の優先度は相対的に下がります。
- ①教育費を含む全支出を配偶者の収入だけでカバーできる(月収35万円以上が目安)、
- ②子供の教育費相当額(500〜1,500万円)が学資保険や貯蓄として確保済み、
- ③流動資産として5年分の生活費(1,500万円以上)がある—この3条件がそろわない限り、教育費を抱える家庭には収入保障保険が有力な選択肢です。
学資保険と収入保障保険の役割分担
学資保険は「教育費を積み立てる」ための保険で、収入保障保険は「家族の生活費を守る」保険です。
この2つは役割が異なり、どちらか一方で十分というわけではありません。
学資保険があっても、生活費が確保できなければ子供の進学機会は守れません。
理想的には学資保険で教育費を、収入保障保険で生活費をそれぞれカバーする設計が合理的です。
月に数千円の追加支出で、家族全体のリスクを大幅に低減できます。
収入保障保険の保険料相場と選び方
収入保障保険の保険料は年齢・性別・保険期間・保障月額・喫煙歴によって決まります。
35歳男性・月額15万円・60歳満了の場合、月払保険料は2,000〜3,500円が相場です。
選ぶ際のポイントは4つあります。
- ①保険期間:子どもが独立する時期または定年(60〜65歳)に合わせる。
- ②最低保証期間:加入直後に万一があっても一定期間の給付を確保できる商品を選ぶ。
- ③就業不能特約:死亡だけでなく長期就業不能でも給付が受けられるか確認する。
- ④非喫煙者割引:禁煙者は20〜30%の割引が受けられるプランも多い。
複数社の見積もりを一括比較サービスで取得するのが最も効率的です。
必要保障額の計算方法:遺族年金との組み合わせ
収入保障保険の必要保障額は「遺族年金を差し引いた毎月の不足額」から逆算します。
計算式:必要保障月額 = 月の生活費 − 配偶者収入 − 遺族年金受給額。
例えば月の生活費28万円・配偶者パート収入8万円・遺族厚生年金11万円なら不足は月9万円。
子どもが独立するまで15年なら総必要保障額は1,620万円です。
収入保障保険で月9〜10万円を60歳満了で設定すれば月1,500〜2,500円程度で実現できます。
一時金型生命保険で1,620万円を確保するより大幅に保険料が安くなります。
収入保障保険を活用した「家族を守る設計」の実例
収入保障保険の活用例として、35歳・年収600万円の会社員(妻・子1人)のケースを見てみましょう。
月の生活費28万円・住宅ローン月12万円(団信加入済み)・妻パート収入月8万円・遺族厚生年金月11万円の場合:万一の際の収入は月19万円、支出(ローン消滅後)は月16万円で月3万円のプラスになります。
この世帯では収入保障保険なしでも家計は維持できますが、教育費ピーク(中学〜大学)には月5〜10万円の追加支出が見込まれるため、月10万円・15年間の保障を月2,200円で追加することが推奨されます。
一方、同じ35歳でも住宅ローンなし・賃貸(月15万円)の場合は毎月の収支が大幅に悪化するため、月15〜20万円の収入保障保険が必要です。
このように世帯の状況によって必要保障額は大きく異なります。
収入保障保険の注意点:申告内容と告知の重要性
収入保障保険に加入する際は、健康告知・職業告知が必要です。
告知義務違反があると、万一の際に保険金が支払われない「告知義務違反による解除」が生じるリスクがあります。
主な告知事項は、
- ①過去5年以内の入院・手術歴、
- ②現在治療中・服薬中の病気、
- ③身長・体重(BMI)、
- ④職業(危険な職業は割増保険料や加入制限がある場合も)、の4点です。
持病がある方は「引受基準緩和型(限定告知型)」の収入保障保険を扱う保険会社もあります。
ただし通常の収入保障保険より保険料は割高になります。
まずは健康な状態で複数社を比較し、自分に合った商品を見つけることが大切です。
よくある質問
Q. 子供が高校を卒業したら収入保障保険は解約できますか?
A. 子供の独立・配偶者の収入増加・貯蓄の充実など、保険加入時より家計状況が改善していれば解約・減額を検討できます。ただし収入保障保険は期間満了に近づくほど保障総額が減るため、残り期間が短ければ保険料に見合う保障は得にくくなります。解約より満了まで継続する方がシンプルなケースも多いです。
Q. 収入保障保険は教育費のために受け取れますか?
A. 収入保障保険の給付金(死亡保険金)は用途制限がありません。遺族は受け取った保険金を教育費・生活費・住宅ローン返済など自由に使えます。毎月受け取る形(年金型)か一時金で受け取る形かを選べる保険会社もあります。
Q. 子供が複数いる場合、保障額はどう設定すべきですか?
A. 子供の人数が増えるほど教育費の総額も増えます。2人なら1.5〜2倍、3人なら2〜2.5倍の追加費用を想定して保障額を設定しましょう。具体的には「月の生活費の不足額×末子が独立するまでの年数」を目安に収入保障保険の保障月額と期間を設定することをおすすめします。
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この記事を書いた人
三上 はるか
FP(2級ファイナンシャルプランニング技能士)・保険ライター
2級FP技能士資格保有。共働き世帯・子育て世帯の保険見直しを専門に、医療保険・がん保険・生命保険・収入保障保険の情報を10年以上発信。
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