夫婦それぞれが住宅ローンを組む「ペアローン」は、借入額を増やせる一方で、どちらか一方が働けなくなった際のリスクが見落とされがちです。「団信があるから大丈夫」と思っていませんか?ペアローンには落とし穴があります。
この記事では、ペアローン世帯が収入保障保険を検討すべき理由と判断基準を詳しく解説します。
ペアローンと団信の「落とし穴」
ペアローンでは夫と妻がそれぞれ別々にローンを組みます。
団体信用生命保険(団信)は「死亡した人のローン残債」を消してくれますが、配偶者のローンは消えません。
つまり、夫が亡くなった場合、夫分のローンはゼロになりますが、妻分のローンは残り続けます。
さらに深刻なのは「死亡ではなく長期就業不能」のケースです。
この場合、団信は適用されず、ローン返済は続きます。
収入が半減した状態でペアローンの両方を返済し続けることは、ほとんどの世帯で不可能です。
ペアローン世帯のリスクシミュレーション
例えば、夫婦それぞれが月12万円(合計24万円)のローンを返済している世帯で、夫(年収500万円)が長期療養で働けなくなったとします。
傷病手当金は月約11万円(最長1年6ヶ月)。
この間も夫分のローン12万円は続き、妻の収入だけでは生活費+妻ローン12万円+夫ローン12万円の合計を賄えません。
傷病手当金終了後は収入がゼロになるため、破綻リスクが急上昇します。
収入保障保険で月10〜15万円の給付があれば、このリスクを大幅に軽減できます。
📊 ペアローン世帯向け収入保障保険 保険料比較(月額15万円・65歳満了)
| 保険会社 | 月払保険料(40歳男性) | 月払保険料(40歳女性) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 収入保障A社 | 3,150円 | 2,700円 | 就業不能特約付加可 |
| ネット保険B社 | 2,850円 | 2,450円 | シンプルプランで割安 |
| 総合生命C社 | 3,350円 | 2,900円 | 三大疾病時保険料免除あり |
| 外資系D社 | 2,990円 | 2,620円 | 非喫煙者優遇あり |
※上記は概算例です。実際の保険料は各社の審査・条件によって異なります。
ペアローン世帯で収入保障保険が「いらない」と言える条件
以下の条件がすべて揃う場合のみ、収入保障保険なしでペアローンを維持できる可能性があります。
- ①夫婦どちらかの収入だけでローン全額+生活費をカバーできる、
- ②流動資産が2,000万円以上あり、1〜2年の収入減に耐えられる、
- ③ローン残高が残り10年以下で比較的少額—これらが揃わない限り、ペアローン世帯は収入保障保険を真剣に検討すべきです。
特に子育て期間中は固定費が多く、保険の必要性が高まります。
夫婦それぞれに保険をかけるべきか
ペアローン世帯では、夫・妻それぞれに収入保障保険を掛けることが理想です。
一方だけに掛けると、もう一方が倒れた際に対応できません。
保険料の目安は、各自の月収の30〜40%程度を保障額として設定し、保険期間はローン完済時期に合わせるのが合理的です。
夫婦で合計月5,000〜8,000円の保険料で、数億円規模のリスクに備えられます。
収入保障保険の保険料相場と選び方
収入保障保険の保険料は年齢・性別・保険期間・保障月額・喫煙歴によって決まります。
35歳男性・月額15万円・60歳満了の場合、月払保険料は2,000〜3,500円が相場です。
選ぶ際のポイントは4つあります。
- ①保険期間:子どもが独立する時期または定年(60〜65歳)に合わせる。
- ②最低保証期間:加入直後に万一があっても一定期間の給付を確保できる商品を選ぶ。
- ③就業不能特約:死亡だけでなく長期就業不能でも給付が受けられるか確認する。
- ④非喫煙者割引:禁煙者は20〜30%の割引が受けられるプランも多い。
複数社の見積もりを一括比較サービスで取得するのが最も効率的です。
必要保障額の計算方法:遺族年金との組み合わせ
収入保障保険の必要保障額は「遺族年金を差し引いた毎月の不足額」から逆算します。
計算式:必要保障月額 = 月の生活費 − 配偶者収入 − 遺族年金受給額。
例えば月の生活費28万円・配偶者パート収入8万円・遺族厚生年金11万円なら不足は月9万円。
子どもが独立するまで15年なら総必要保障額は1,620万円です。
収入保障保険で月9〜10万円を60歳満了で設定すれば月1,500〜2,500円程度で実現できます。
一時金型生命保険で1,620万円を確保するより大幅に保険料が安くなります。
収入保障保険を活用した「家族を守る設計」の実例
収入保障保険の活用例として、35歳・年収600万円の会社員(妻・子1人)のケースを見てみましょう。
月の生活費28万円・住宅ローン月12万円(団信加入済み)・妻パート収入月8万円・遺族厚生年金月11万円の場合:万一の際の収入は月19万円、支出(ローン消滅後)は月16万円で月3万円のプラスになります。
この世帯では収入保障保険なしでも家計は維持できますが、教育費ピーク(中学〜大学)には月5〜10万円の追加支出が見込まれるため、月10万円・15年間の保障を月2,200円で追加することが推奨されます。
一方、同じ35歳でも住宅ローンなし・賃貸(月15万円)の場合は毎月の収支が大幅に悪化するため、月15〜20万円の収入保障保険が必要です。
このように世帯の状況によって必要保障額は大きく異なります。
収入保障保険の注意点:申告内容と告知の重要性
収入保障保険に加入する際は、健康告知・職業告知が必要です。
告知義務違反があると、万一の際に保険金が支払われない「告知義務違反による解除」が生じるリスクがあります。
主な告知事項は、
- ①過去5年以内の入院・手術歴、
- ②現在治療中・服薬中の病気、
- ③身長・体重(BMI)、
- ④職業(危険な職業は割増保険料や加入制限がある場合も)、の4点です。
持病がある方は「引受基準緩和型(限定告知型)」の収入保障保険を扱う保険会社もあります。
ただし通常の収入保障保険より保険料は割高になります。
まずは健康な状態で複数社を比較し、自分に合った商品を見つけることが大切です。
よくある質問
Q. ペアローンで団信に加入していれば収入保障保険は不要ですか?
A. 団信は死亡・高度障害時に「その人のローン残債」を消してくれますが、配偶者のローンは残ります。また、就業不能(死亡しないが働けない状態)は団信の対象外です。ペアローン世帯こそ、就業不能リスクをカバーする収入保障保険・就業不能保険が重要です。
Q. 収入保障保険の保障額はどう設定すればよいですか?
A. 自分のローン返済額+生活費の不足分を基準にします。例えば月12万円のローンを抱え、配偶者収入だけでは月8万円不足するなら、月額8〜10万円の収入保障保険が目安です。子供の教育費や緊急支出も考慮してやや余裕を持たせましょう。
Q. ペアローンを収入合算(連帯債務)に変更すれば保険は不要になりますか?
A. 収入合算方式でも、借入人が働けなくなった場合のリスクは残ります。むしろ収入合算は連帯保証のため、主債務者が返済不能になると連帯保証人も全額負担義務を負います。保険の必要性はローン形式よりも世帯の資産・収入状況で判断することが重要です。
関連記事
- → 収入保障保険はいらない?夫に万一があっても住宅ローンで判断できる条件
- → 収入保障保険はいらない人の条件|貯蓄があれば不要なケース
- → 収入保障保険はいらない人の条件|共働き子育て世帯は毎月赤字で判断
📖 収入保障についてもっと詳しく知りたい方はこちら
【完全版】収入保障保険おすすめ比較・選び方ガイド →
この記事を書いた人
三上 はるか
FP(2級ファイナンシャルプランニング技能士)・保険ライター
2級FP技能士資格保有。共働き世帯・子育て世帯の保険見直しを専門に、医療保険・がん保険・生命保険・収入保障保険の情報を10年以上発信。
執筆者プロフィールを見る →

